コロナ禍でなかなか活動ができていませんでしたが、やっと今年度1回目の「猪っと聞こう会」が開催できました。テーマは「ウィズ&アフターコロナの生き方〜若者と公務員が創る長崎」。ゲストに公益財団法人ながさき地域政策研究所の理事長である菊森淳文さんをお招きして、猪研メンバーは会場で聴講、一般参加向けにオンラインで配信を行う形式で行いました。長崎市職員やその他公務員から50名を超える申し込みがあり、関心の高さが伺えました。
講演メモ
0.導入
○19年前の長崎市職員向けの講演会
伝えたメッセージ
「長崎市の仕事は、工夫をすれば今の1/3になる。残り2/3で市民に直に接する仕事をしてほしい」
○シンクタンクとは?
経済と金融が専門
長崎県は多様な県、山間出身なので驚いた(それから奈良で育ち、明石家さんまと同級生なのが自慢(笑))
「すべては経営力による」と考えている
1.コロナウイルス感染は、経済・社会をどう変えるのか
(1)人口移動が変わる
都市から近隣の地域に人が動いていく
○ 要因
① テレワークの浸透
② ワーケーションの普及
③ 首都圏から地方への人口移動
④ 複数地域間居住
⑤ ネットを通じた副業の増加
ただ、人口の移りは当面の間小さい
東京から埼玉や千葉など近隣の地方に移る
近いところから変化が起きる
(関東大震災のときのように
○ 移住の理由
移住する人の経済状況
移住する人の移住の考え方
移住を受け入れる地方の準備度合い
※ 長崎は「移住を受け入れる地方の準備度合い」がアドバンテージがあると考えている
○長崎←→福岡のワーケーションがなぜ進まないのか調査
会社の理解がない
そもそも会社に制度がない
↓
理解も制度も整っていくので、これからはワーケーションがどんどん進んでいく
○ DX
技術
人々の考え方 の変革
○戦後からのイノベーション
戦後からじわじわとイノベーションしていっているが、革新的なのは、これから!
イノベーションが最も起こっていないのが「サービス業」
反対に最も起こっているのは「製造業」
○業種での例
福祉・・・DXが早い
理由は困っていたから
例)サービスの行動記録を自動化
音声入力を可能に
夜間の見回りをセンサーで
○2040年に向けて
高齢化も進むが、技術が革新していく
○ メタバース
※メタバース・・・インターネット上の仮想現実
Facebookが社名を「Meta」と変更するなど、メタバースが社会に浸透している
↓
メタバースのプラットフォーム化を狙っている
全世界的に進んでいる
技術が進歩している
例)メタバースでできること
土地取引や靴の売買(NIKE)など
○メタバースのいいところ
3D→靴の売買なら、靴底まで確認できる
○健康への意識を変化
長崎市の企業誘致の方向を健康イベントにしては?
2.長崎とは
☆異文化との交流
||
Mice、外国ホテルの誘致
実現したが、15年かかった
他に、佐世保のIR・・・14年
・「歴史の街→未来の街」へ
・ハードの変化→ソフトの変化
幸福価値観が増加している
○イノベーションをリードしよう
・オープンイノベーション
交流により革新的なことが生まれる
例)渋谷トーキュー
「SHIBUYA QWS」
いくつかのプロジェクトが同時進行に進む
○若者が創る長崎
「Z世代」1995年〜2000年代に生まれた世代
増加蓄積型
→今あるものを改善したい
〈特性〉
① 発想の親独性
チャレンジが許される
② 若者に求められる力
・時代をよむ→「常識を疑う」
・創造性→「自分の頭で考える」
・チャレンジ性→できるためにどうするか
・道を切り開く→「答えが一つではない」「どういう道を選ぶか」「災害やコロナなど普段にない環境でどう変わるか」
○社会や高齢者の役割
① 若者にバトンタッチ
② 若者を見守り、助言
「松永安左エ門」
壱岐市に記念館あり、憧れの人
4.長崎県における公務員のあり方
☆問題は、高齢者の人口減少
↓
医療・福祉の若者も都市へ
「課題」
・産業構造の変革
・DX
・財政の悪化・・・魅力ある政策に頼る
・地域コミュニティの衰退・・・新しい「絆」づくりへ
○地域経営の要
民間経営と同じく
「住民」と一緒につくる
→政策経営
・「住民」の誰を誰を動かせば?
→地域リーダー(キーパーソン)の存在
→官民協働
○新しい社会の公務員
・期待したいこと
① 市の効率化
② 作った時間で市民サービスを良くする
③ 公務員でないとできないこと
④ 真の市民協働とは?
住民からの要望に、キーパーソンとの協働プロジェクトで対応する際のリード役
5.人口減少しても発展する強い地域
-SDGs
例)EC・ICTのサブスク
コミュニティの力-社会参画
①集落 支え合いの状態
地域住民の声を聞く
② 在り方を話し合う
住民←→キーパーソン←→市
○チャレンジする精神
○スーパースマートシティ
例)大村JAードローン活用
○新しい形の観光・リゾート化
幸福度↑
幸福価値観の上がっている現代にピッタリ
例1)壱岐空港で大型ドローン
(NASA製)の実証実験のとき
〈よかったこと〉
・アメリカ政府、大使館から日本政府に直接電波の使用許可を依頼
・ドローンを分解することなく、運ぶことができた
→壱岐市がさまざまな許可を取るのに全面協力
?なぜ?
・国境の近い壱岐市にとってドローン実証実験に協力することにより、得られる国防の益(ドローンの将来の活用)が重要だった
近海の不審船を監視できる
・壱岐市と国防で繋がってる防衛省にもメリット
例2)新上五島町迎賓館「マルゲリータ」
リニューアルにあたり、住民(民宿)から猛反対
→民宿とは違うニーズで作ろう
→離島好きの外国の富裕層をターゲットに
→立地や温泉を武器に呼び込む
〇地域の人材育成
「ながさき観光学」
地域リーダーの育成
×座学
〇NPOの具体的運営(実践型)
具体性が大事
→色んなところから意欲ある若者が育つ
「公務員へのお願い」
・自身の政策企画力を育ててほしい
・住民と「常に、共に」の意識を持ってほしい
・行動の習慣化を・・・新聞を読んだり、ニュースをみたり、町内会に時々参加したり
・「企画」と「実行」両方の重要性
→企画型公務員になってほしい
例)黒澤明監督「生きる」・・・主人公の最後の仕事に取り組む姿がみどころ
質疑応答タイム
Q1 業務改革について、組織のほかの職員にも共有したいが、普段の業務が忙しい。
組織に共有するいい方法を教えてほしい。
A1 各部署から業務改革の方法を提案しては?
例)長崎市の取り組みを英文翻訳する、翻訳にGoogle翻訳を活用
→英文にすることで外国人が読んでくれてアピール度がアップ
アピール度アップは、長崎市の普遍的なテーマ
→最近はGoogle翻訳の制度がアップしているので、労力も低い
Q2 今の業務改革についていくのに、精一杯です。稼ぐ力やコミュニティを育てている他都市の良い事例を教えてください。
A2 そもそも改革とは2,3年で変わらない。
波佐見町がなぜ改革をしているのか。資源が豊かであったり、元々の住民意識が高かったからだ。
どうやったら稼げるかに真剣に考え、豊かな地域資源の活用を観光にシフトした。
きっかけは、東京のテーブルウェアの大会に出場した際に、人の心が大事だと学んだからだ。
しかし、波佐見町はコミュニティを培っていても10〜15年かかった。
キーパーソンや町長に働きかける必要がある。
Q3 長崎はどうやって飯を食っていくか。
企業誘致をする上で長崎に拠点を置く意味は?
A3 コロナのおかげでDX化がどんどん進んでいる。
自治体としてどうやって財政を維持するかを考えた場合、人材は長崎だけに住む必要はない。(複数拠点)
土地がない長崎で所得を上げるのに、ICTなどの研究開発型都市を目指しては?
創業・・・大型パソコンで開発
→高速化
大村・佐世保に研究開発型都市
→大学との連携
Q4 将来価値を創造する上で必要なことは?
A4 DX化を進め、組織の力に変える。
横の組織を志向していく。
ネットは既成の組織を取り込む力がある。
フランクな話合いを行う。
Q5 移住などは県全体での取り組みが必要と感じた。子育て支援でのポイントを教えてほしい。
A5 移住して生活を変えなくて済むなど総合的なまちに。
実行できるかがポイント、実行し続けることが重要。
単に子育てに優しいまちだけでは住まない。
夢を持てる。楽しいスポーツができる。
満足のいく仕事が確立されているか。
最後にメッセージ
「公務員の資質が求められている」
「地域経営と企業経営は似ている」
「役所だけで完結できることはなくなる」
「住民、キーパーソンと協働することが大事。地域に出ることが重要。」
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